S-KIN Research
日本人の地域差における菌叢の違い

東日本(関東)と九州地区で頬、額から綿棒で採取した細菌で地域差はあるかどうかを検証しました。


Sample ID 1~30 = 東日本サンプル
Sample ID 31~56 = 西日本サンプル
PCA rotation info


主成分分析によるクラスタ分類と寄与度の大きな菌種について
PCA rotation infoに絶対値が大きい菌 種上位6つを表示している。
PC1(x軸)はPropionibacterium の多少によるサンプルの散布図上の位置が決まる。
Sample35は最もこの菌の占有率が高い。
PC2(Y軸)はXanthomonas axonopodisの寄与度が高く、Sample15と16はこの菌の占有率が高い。
注意:寄与度が高いことはその菌の存在量の差がサンプル間で大きいことを示し、個々のサンプル内で占有率が高いか低いかはどちらもありえる。
結果は、個体差のほうが大きく、地域差は認められませんでした。
日本人健常人の主要細菌の占有率のばらつき

平均占有率
Cutibacterium acnes (23%)
Cutibacterium namnetense (4.1%)
Cutibacterium granulosum (0.26%)
Staphylococcus aureus (3.6%)
Staphylococcus epidermidis (5.7%)
Staphylococcus thermophilus (0.44%)
Cutibacterium acnes(アクネ菌)やStaphylococcus epidermidis(表皮ブドウ球菌)は、個人によって大きく幅があることがわかった。このことが個人ごとの肌状態に差が出てきている原因でもある。
肌の炎症などの状態に関係するStaphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)もある程度の差が生じている。
個人によって占有率に差があるアクネ菌、表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌の占有率と肌状態の関係
アクネ菌



皮脂を取り込んでいるアクネ菌では、「油浮きが気になる」にYESと答えた人とNOの人では、大きくさが生じ、有意差検定の値もP=0.001と有意な値が出ている。
他の質問項目も有意差は数字では見られないものの、肌状態に対して占有率の差が生じている。
LEfSe解析においても、肌の油浮きが気になる人の占有率の多い最優位細菌と分析された。

黄色ブドウ球菌


炎症に関係する黄色ブドウ球菌はこのスタディーでは有意差検定値は有意とは計算されていないが、これらの肌状態で、占有率に差が生じている。
別の見方をすると、アトピー性皮膚炎で、黄色ブドウ球菌が4%以上、未満の検体でオッズ比を計算すると、オッズ比=2.43という高い値を示した。
表皮ブドウ球菌


美肌菌とも言われる表皮ブドウ球菌は、肌のツヤ、カサつきについて有意な検定値は出ていないものの、これらの肌状態で、有意差に差が生じている。
多様性と肌状態の関係
多様性指数=菌叢を構成する細菌の種類が多く、その割合が均等であるほど数値が高くなる指数で、Shannon EntropyやSimpson indexで表示される。

Yesが多いほど複数の肌トラブルを抱えていると思われる質問項目で、多様性との関連を調査した。
-
肌にかさつきがある
-
シミが目立つ
-
肌にツヤがない
-
顔のシワが気になる
-
毛穴の汚れが目立つ
-
ニキビ吹き出物が出来る
-
肌の油浮きが気になる
-
肌にハリがない

回答にYesの数が多いほど Shannon entropy(多様性)は低くなる有意な負の相関がみられ、
肌トラブルが多いという回答の人ほど、菌叢の多様性(Shannon entropy)が低くなっています。
特に、アクネ菌とも関連する「ニキビ吹き出物が出来る」「肌の油浮きが気になる」の項目で強い負の関係が見られた。


