第69回秋季日本歯周病学会学術大会 ポスター発表資料

背景と目的
当社では高速シーケンサを使用して医薬品・食品の口腔内細菌叢への影響を分析するサービスを提供しているが、口腔細菌叢の個人差についてその要因は明確ではない。
今回、細菌叢試験において菌叢の偏りを生じる要因を把握するために、口腔内細菌叢と生活習慣及び口腔環境の関係を検証した。
方法
生活習慣及び口腔環境は、同意の得られた148名を対象にアンケート項目の選択肢から選ぶ形式とし、同時に採取した唾液のDNAからIon 16S Metagenomics Kit(Thermo Fisher Scientific)を使用してSequence Libraryを構築しIon S5 sequencerによる16s rRNA sequenceを実施した。
得られたSequence ReadはNCBI 16sMicrobial databaseに対するBlast検索によりリードごとに菌種を決定し、Metagenome@KIN (World Fusion)を用いた菌叢解析を実施した。菌叢の統計解析にはLEfSe1)を使用し、菌叢の類似性比較(β多様性)解析にはPERMANOVA2)を使用した。
1 ,口腔内菌叢の群集構造に変化を生じる要因の探索(β多様性解析)


結果:口腔内菌叢の群集構造解析
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口臭やドライマウス症状の有無は菌叢構造に変化を生じる。
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虫歯や歯周炎、インプラントの有無は唾液中の細菌群集構造に
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有意な変化を生じない。
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発酵食品や乳酸飲料の継続摂取で唾液中の菌叢構造が変化する。
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歯周病予防を目的とした歯磨き剤の使用は菌叢構造を変化させる。
2,口腔環境や生活習慣により占有率が変化する口腔内細菌の探索(群間比較解析)
口腔環境により占有率が変化する細菌


検体を各アンケートに対する回答(Yes or No)に基づき2群に分類し、Lefse解析による菌種ごとの群間比較解析を実施。
LDA Score>|2|の菌種および属を群間で差異のあった菌として示す。
棒グラフの方向は質問への回答(Yes/No)群のどちらで当該菌種の占有率が高いかを示す。
例:Yes(緑)方向の棒グラフで示される菌はアンケートに”はい”と答えた集団で“いいえ”と回答した集団より高い占有率を示す。
生活習慣や口腔ケアにより占有率が変化する細菌


結果:口腔内細菌の群間比較解析
口腔内細菌の群間比較解析により以下の事が観察された。
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インプラント装着者や歯周ポケットの深い人では、唾液中にP.gingivalisの検出が認められた。
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口臭やドライマウスでは、歯周病や虫歯に関連した口腔内環境よりも比較的大きな細菌叢の変化が生じる。
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定期的な歯のクリーニングに行かない人は高占有率を示す菌が多くなる。
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漂白タイプ歯磨き剤の利用者では複数の細菌の占有率が高くなり、歯周病予防歯磨き剤の利用者では占有率が低下する細菌が多く観察された。
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喫煙や飲酒の有無は口腔内菌叢の変化をほぼ生じない。
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日常的な発酵食品の摂取は口腔内細菌叢に変化を生じる。
結論:検討から得られた口腔内細菌叢試験を実施する際の注意点
口腔内細菌叢のメタゲノム試験を行う際には、試験期間中の口腔内細菌叢の変化を避けるために歯磨き剤の変更や発酵食品の摂取頻度の極端な変化を避ける。
また、細菌叢の個人差を低減するために口臭の強度や唾液分泌量を把握しておくことが望ましい。
Reference
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Nicola Segata et al. Genome Biology, 2011 Jun24;12(6):R60Metagenomic Biomarker Discovery and Explanation
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Anderson, M Austral Ecology, 26(1) February 2001 32-46A new method for non-parametric multivariate analysis of variance.
発表者のCOI(利益相反)開示
発表者の企業社員などへの就任の有無:有り
株式会社ワールドフュージョン
