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肌フローラの学術的情報を発信するページです。肌フローラについて詳しく知りたい方は是非お役立てください。

連載~第九回(最終回) 免疫システムからの影響を受けている肌フローラと菌の多様性

肌フローラ自体も肌の免疫システムからの影響を受けています。

免疫反応を誘導する働きがある受容体C5AR(CD88)に対する拮抗物質を用いてマウスの免疫反応を実験的に抑制すると、肌フローラの構成が変化し、Actinobacteria属菌が増加しFirmicutes属菌が減少します。さらに細菌の多様性が低下し、肌からの抗菌ペプチドやサイトカインの産生が低下します。

このことは、肌の免疫システムが肌フローラの細菌構成や多様性の維持に重要な役割を担っていることを示します。

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連載~第八回 表皮ブドウ球菌はヒトの免疫応答に重要

表皮ブドウ球菌はヒトの免疫応答に重要なTLR2受容体を刺激してシグナル経路を活性化し、抗菌ペプチドや前炎症性サイトカインの産生を促し、Group A Streptococcus(A群レンサ球菌、常在菌だが感染症の原因菌になることもある)やヒトパピローマウイルス感染に対する免疫応答を促しています。このTLR2受容体刺激反応は細菌の細胞壁を構成するリポタイコ酸がTLR2受容体を刺激することによって引き起こされ、さらに抗菌ペプチドを作るマスト細胞を周囲に誘導します。一方でリポタイコ酸は角質細胞でTLR3を介した炎症反応を抑制するという働きもしています。興味深いことに、この誘導効果はマクロファージや樹状細胞には影響しません。

連載~第七回 美肌菌の表皮ブドウ球菌を実験的にマウスに感染させると、IL17Aの産生が回復

IL17サイトカインは自己免疫疾患、炎症性疾患やアレルギー反応、細菌感染防御に重要な役割を果たしています。

肌において樹状細胞やマクロファージで作られる炎症性サイトカインIL-1の産生増加が起こると、それに続いてIL-17やIFNγの産生が肌のT細胞で生じます。しかしながら、IL1-R1を欠くマウスではIL-1の増加があってもその受容体を欠くためIL17Aを産生するγT細胞およびδT細胞と共存するヘルパーT細胞17(Th17)が減少します。

興味深いことに、表皮ブドウ球菌を実験的にマウスに感染させると、IL17Aの産生が回復します。このことは表皮ブドウ球菌がヘルパーT17細胞を誘導する機能を持っていることを示すとともに、IL17Aを発現するT細胞と同じ機能を持っていることを示すものです。

肌フローラの構成菌であるCorynebacterium pseudiphtheriticum, Propionibacterium acnes, Staphylococcus aureusも肌のIL17A陽性細胞とIFNγ陽性細胞を増やしますが、表皮ブドウ球菌ほどの強度はありません。

さらに表皮ブドウ球菌は肌フローラの中で唯一CD8陽性T細胞を増やすことができます。CD8陽性T細胞はIL17AとIFNγを作り出すことができる細胞で免疫反応を増強する細胞です。このようなIL17Aを作り出すT細胞は肌の免疫バリアを担い、病原細菌の侵入を抑制する役割を担っており、皮膚免疫システムと肌フローラを構成する細菌の密接なつながりが明らかにされています。

連載~第六回 自然免疫反応を誘導

肌表皮の角質細胞はカテリシジン(cathelicidin)やβラクタムといった抗菌ペプチドを産生して外的となる病原細菌から人体を守っています。抗菌ペプチドは皮脂腺細胞からも作られており、細菌への抗菌作用や免疫応答のトリガーとして働きますが、いくつかの抗菌ペプチドは肌の細菌の有無によっても制御されていることが分かってきました。

例えばPropionibacterium属の一種はヒトの皮脂腺細胞からの抗菌ペプチド産生を促します。肌での免疫反応では、肌と接触している脂肪細胞にも役割があり、侵入してきた黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対して、近くに存在する脂肪細胞の前駆細胞が急速に増殖し、真皮脂肪層を形成します。さらにカテリシジンが脂肪細胞内や感染を受けた肌の細胞内で増加して殺菌作用を生じます、脂肪細胞は物理的な感染拡大抑制と抗生物質による殺菌作用の両方にかかわっている事になります。

連載〜第五回、肌フローラと皮膚抗菌作用の関係

肌表皮の角質細胞はカテリシジン(cathelicidin)やβラクタムといった抗菌ペプチドを産生して外的となる病原細菌から人体を守っています。抗菌ペプチドは皮脂腺細胞からも作られており、細菌への抗菌作用や免疫応答のトリガーとして働きますが、いくつかの抗菌ペプチドは肌の細菌の有無によっても制御されていることが分かってきました。

例えばPropionibacterium属の一種はヒトの皮脂腺細胞からの抗菌ペプチド産生を促します。肌での免疫反応では、肌と接触している脂肪細胞にも役割があり、侵入してきた黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対して、近くに存在する脂肪細胞の前駆細胞が急速に増殖し、真皮脂肪層を形成します。さらにカテリシジンが脂肪細胞内や感染を受けた肌の細胞内で増加して殺菌作用を生じます、脂肪細胞は物理的な感染拡大抑制と抗生物質による殺菌作用の両方にかかわっている事になります。

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連載〜第四回、 性別による違いは研究報告によりまちまち

ヒトの肌では男性は皮脂腺や汗腺が女性より活発という生理的な違いがあり、成人を対象とした研究ではPropionibacterium属やCorynebacterium属が男性では女性よりそれぞれ37%と80%ほど多く、Enterobacteriales属, Moraxellaceae属, Lactbacillaceae属, Pseudomonadaceae属といった細菌は女性のほうが男性よりも150%ほど多いとする報告があります。またフローラを構成する細菌の多様性も女性のほうが高いとされています。一方で、分析対象となる人の年齢を一致させた試験では男女間で存在量に差のある菌種は見つからなかったとする報告もあります。

このように、肌フローラを構成する細菌は年齢や性別、部位による肌の生理状態影響を受けて形作られています。

連載〜第三回、幼児の肌フローラは成人とは異なる

幼児の肌フローラにはStaphylococcus属やStreptococcus属が多量に存在し、生後6ヶ月までは40%程度を占めています。思春期前後になるとProteobacteria属やFirmicutes属が増えていき、成人に近づくにつれてPropionibacterium属やCorynebacterium属など親油性の細菌に入れ替わり肌フローラの大部分を占めるように変化していきます。

肌の部分によってもフローラ中の細菌構成は異なります。顔や上半身はPropionibacterium属やStaphylococcus属が多くを占め、Corynebacteria属やβ-Proteobacteria属は腋や肘前窩、膝窩に多く存在します。

連載~第二回、出産時から始まる肌フローラの変化

出産時から始まる肌フローラの変化

 

肌フローラの形成は出産時から始まっています、正常分娩の場合、新生児の肌フローラは母親の膣の細菌組成に類似してLactobacillus属やPrevotella属菌が豊富です、帝王切開により出生した場合はStaphylococcus属やAcinetobacter属などの肌フローラの常在菌とされる菌を当初から獲得します。幼年期の肌の特徴として、角質細胞が薄く脂質の含有量が少ないため水分が多いこと、それにより表皮の透過性が高いこと、出生後2年は成人に比べて肌がアルカリ性であること、などがあり、肌フローラを構成する細菌の種類も成人とは異なっています。

連載~第一回、肌フローラの定義と形成過程とその役割

肌フローラの定義と形成過程

 

皮膚は最も大きな組織

肌は人の体で最も大きな面積を占める組織で、おおよそ1.8㎡〜2.0㎡の広さを持ち、シワなどの凹凸を考慮すれば、25㎡もある組織です。そこには、1cm四方当たり百万個ほどの最近が生息しており、肌全体での細菌の数は10の10乗個に達し、その種類はおおよそ40種類ほどとされています。健康の人の腸には10の14乗個ほどの細胞数の細菌がいるとされていますので、肌は腸に次ぐ量の細菌が生息する組織になります。

 

肌フローラとその役割

肌に日ごろから存在する常在菌を肌フローラと呼び、特に免疫応答や炎症へのかかわりが注目されています。

肌は腸と異なり、周囲の環境と直接に接触が生じる場であり、酸性度や気温、肌への付着物などの周囲の環境や宿主となるヒトの生理状態の影響を肌に生息する細菌は常に受けています。

コエンザイムQ10のビフォー・アフターやってみました

コエンザイムQ10の服用前、服用2週間、服用4週間目で肌フローラの状態がどのように変化するか実施しました。

結果、アクネ菌に大きな変化と、Q10が作用するキノンに関連する脂質合成の化合物との相互作用のある菌が服用後2週間目から現れました。

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Staphylococcus pasteuri: 院内感染などで知られるが、病原性は低い

ヒトの肌に生息する常在菌で、コアグラーゼと呼ばれる酵素の産生能力を持たない病原性の低い細菌です。
人の疾患および感染症との関係は不明ですがメチシリンやマクロライドをはじめとする抗生物質耐性をもつ株が報告されています。

※コアグラーゼ:ヒトや動物の血漿を凝固させる酵素様物質

 

Recent Pat Antiinfect Drug Discov. 2009 Jun;4(2):123-9. [PubMed] 

 

アドバイスに利用している参考文献

プロピオバクテリウム・アクネスに関するアドバイスの参考文献

Clin Cosmet Investig Dermatol. 2015; 8: 371-388.   (PubMed:26203267)
BMC Research Notes 2013,6:474  (PubMed:24245826)
Br J Dermatol. 2008 Mar; 158(3): 442-455.  (PubMed:18275522)
Clin Microbiol Rev. 2014 Jul; 27(3): 419-440.  (PubMed:24982315)

スタフィロコッカス・アウレウスに関するアドバイスの参考文献
J Clin Aesthet Dermatol. 2013;6:16-22  (PubMed:24155988)
Am J Clin Dermatol. 2004;5:217-223  (PubMed:15301569)
BMC Research Notes 2013,6:474  (PubMed:24245826)
Genome Res. 2012 May; 22(5): 850-859.  (PubMed:22310478)

スタフィロコッカス・エピデルミディスに関するアドバイスの参考文献
Nat Med. 2009 Dec; 15(12): 1377-1382.  (PubMed:19966777)
Nature. 2010 May 20;465(7296):346-9  (PubMed:20485435)
Japanese Society for Investigative Dermatolog August 2015Volume
79,Issue 2, Pages 119-126  (PubMed:26012780)

ストレプトコッカス・サーモフィルスに関するアドバイスの参考文献
Journal of Investigative Dermatology (1999) 113, 98-106  (PubMed:10417626)

 

お肌に無害な常在菌としてのブドウ球菌(Staphylococcus capitis, Staphylococcus haemolyticus, Staphylococcus pasteuri)

菌の名前に"Staphylococcus"とつくブドウ球菌属にはコアグラーゼと呼ばれる酵素を分泌する能力の有無で細菌の毒性に大きな差があります。
コアグラーゼには血液中のプロトロンビンを活性化し、フィブリンと呼ばれる血液凝固作用のあるタンパクを作り出す能力があります。
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)はアトピー性皮膚炎の原因となる菌として知られていますが、この菌にはコアグラーゼを作り出す能力があり、コアグラーゼが作ったフィブリンなどの凝固因子で自身の周りを囲むことで、免疫細胞からの攻撃を回避したり、宿主の細胞に付着する補助に利用しています。
同じブドウ球菌でもStaphylococcus capitis, haemolyticus, pasteuri,epidermidisなどはコアグラーゼを持たないため
細菌の毒性は強くありません。
これらの菌は皮膚の常在菌としてよく見つかり、当社のs-kinチェックキットでもお肌の上での占有率上位10菌によく入ってきますが、健康な人のお肌の上にいる限りは無害であり、肌の細菌のバランスを維持する大切な役割を担っています。
お肌の細菌を調べたときにStaphylococcus capitisなどの常在菌が多く見つかっても、肌の健康には悪い影響を与えません。

J Appl Microbiol. 2013 Dec;115(6):1411-9 [PubMed] 
J Innate Immun. 2012;4(2):141-8 [PubMed]

 

ストレプトコッカス・サーモフィルスのセラミド生成機能による肌のバリア機能補修

健康な肌を構成する上皮角質層は水分層を維持することが不可欠です。
皮膚の角質細胞は細胞間を脂質で満たされていますが、この脂質の43%程度が
セラミドだといわれています。
この細胞間を満たす脂質は水分の蒸発を抑えるバリアとして働くだけでなく、角質細胞同士の
密着や剥離などの機械的な特性の維持にも働きます。
皮膚の細胞間を満たす脂質の量が減ることでこれらの機能が失われ、年齢による肌の質感の
変化にも関係してきます。
実際に、セラミドや脂肪酸といった脂質の上皮角質層で作られる量は加齢に伴って角化細胞の代謝が低下することで
減っていき、季節によっても細胞間のセラミド量は春や夏より冬に少なくなることがわかっています。

ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus Thermophilus)は市販のヨーグルトにも含まれる乳酸菌の一種です。
この菌自体がスフィンゴミエリンという脂肪酸からセラミドの生成するつスフィンゴミエリナーゼという酵素を持っているため、セラミドを作り出す能力を持っています。
論文では、角化細胞にこの菌を播種すると1時間程度でセラミド量が増加してくることが示されており、さらにこの菌を破砕してクリームと混ぜて人の肌に塗ることで、皮膚のセラミド量が顕著に増加します。
菌体を破砕してもセラミド量増加の効果があることから、この菌が持つスフィンゴミエリンの分解酵素によってこの機能が発揮されていると考えられています。
また、別の研究ではストレプトコッカス・サーモフィルスの菌体破砕物を混ぜたクリームをアトピー性皮膚炎患者の肌に塗ることで症状が改善されたことが報告されています。

このような肌の機能改善効果は、菌由来の酵素によりセラミドが補給され、肌のバリア機能が修復されたことが原因と考えられており、ストレプトコッカス・サーモフィルスは肌の保湿に役立つ有用な菌として注目されています。

 

 

Arch Dermatol Res. 1996 Nov;288(12):765-70. [PubMed]

J Invest Dermatol. 1999 Jul;113(1):98-106. [PubMed]

Exp Dermatol. 2003 Oct;12(5):615-20. [PubMed]

 

皮膚ブドウ球菌の美肌効果

皮膚ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)は皮膚常在菌として知られています。
この菌にはセリンプロテアーゼと呼ばれるタンパク質を分解する酵素を分泌する働きがあり、この酵素によりアトピー性皮膚炎の原因菌となる黄色ブドウ球菌の増殖を抑制することが報告されています。
具体的には、鼻孔内で黄色ブドウ球菌が形成した群落が、皮膚ブドウ球菌の分泌したタンパク分解酵素により破壊されることを報告した研究があります。

さらに最近、皮膚ブドウ球菌に肌の保湿作用があることがわかってきました。
この菌を人工的に培養して肌に塗布することを就寝前に週2回を4週にわたって実施すると、肌の脂質が増えて水分の蒸発がおさえられることで肌の保湿力が増すことがわかりました。
このように皮膚ブドウ球菌が肌によい影響を与える働きを持っていることがわかってきたため、別名として美肌菌と呼ばれたり、お肌の善玉菌と認識されるようになっています。

 

Nature. 2010 May 20;465(7296):346-9 [PubMed]
Japanese Society for Investigative Dermatolog August 2015Volume 79, Issue 2, Pages 119-126 [PubMed]

 

皮膚常在菌としてのアクネ菌とニキビの関係

アクネ菌として知られるPropionibacterium acnesは約100年前に”にきび”から分離された細菌で、今日では皮膚の常在菌として知られています。 アクネ菌はヒトの肌では最も存在量が多い細菌であるため、さまざまな性質について研究がなされています。アクネ菌が増えやすい肌の環境は、肌の皮脂が過剰に分泌される状態と関係していることが知られています。 つまり、動物性脂肪などの脂質を多く摂取している状態が続くと、肌の炎症を促す物質が皮膚へ拡散したときに、肌の角質形成に異常を起こして角栓を作り皮脂の分泌が増えやすくなります。 豊富な皮脂はアクネ菌にとって理想的な生存環境であるため増殖が誘導されます。 特に20才代の若い人ではアクネ菌の存在量とニキビの発生に相関があることが知られています。 一方で、有害な細菌の増殖を抑制する働きもあり我々の肌を守る役割も担っています。 皮膚表面の角質細胞への毒性は低いことがわかっていますし、さらに皮膚の酸性度を調整して弱酸性にする働きがあります。 弱酸性の肌では悪玉菌として知られる黄色ブドウ球菌の増殖が困難になるため、悪性度の高い菌の増殖を抑えることで肌を守る常在菌として重要な役割を担っています。

 

Clin Microbiol Rev. 2014 Jul; 27(3): 419-440. [PubMed]
BMC Research Notes 2013,6:474 [PubMed]
Br J Dermatol. 2008 Mar; 158(3): 442-455. [PubMed]

 

黄色ブドウ球菌、アトピー性皮膚炎、菌そう多様性の相互作用

黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は、アトピー性皮膚炎の起こっている肌に共通して存在する細菌です。
黄色ブドウ球菌とアトピー性皮膚炎の状態を観察すると、平常時もアトピー性皮膚炎患者の肌には黄色ブドウ球菌が存在しますが、一度アトピーが再燃(再発)するとその存在量は急上昇し、そして皮膚炎が治まるにしたがってこの菌の存在量も減っていきます。

ある場所にいろいろな種類の菌が共存している状態を”菌の多様性が高い”といい、肌の上での菌の多様性が維持されていることで、肌に悪い影響を与える悪玉菌も一方的には増えることができず、安定した状態が保たれています。
普段は肌の上には数百種類の細菌がお互いに牽制しあって生存していますが、アトピーの再燃はこの菌の多様性にも大きな影響を与えます。
研究によると、アトピーの再燃と同時に黄色ブドウ球菌は急速に増加し、肌の菌そうの多様性は失われてしまい、菌のバランスが黄色ブドウ球菌に偏った状態が続くことになります。

黄色ブドウ球菌が増えることで発生する悪い影響のひとつとして、角化細胞の細胞死を誘導する点があります。
皮膚の常在菌として知られるアクネ菌や皮膚ブドウ球菌に比べ、黄色ブドウ球菌は角化細胞に対して強い細胞毒性を示し、細胞死を誘導することがわかっています。つまり黄色ブドウ球菌が増えた状態では皮膚の表面を覆う角化細胞が障害を受けやすくなります。

アトピー性皮膚炎の肌が示す特徴として、皮膚表面からの水分蒸発の増加と肌表面に位置する角化細胞自体の減少があります。角化細胞にはセラミドやフィラグリンといった肌のバリア機能の維持に関わるたんぱく質や、抗菌作用を持ったたんぱく質を作る働きがあるため、角化細胞が減少することでバリア機能が低下し、より強く黄色ブドウ球菌やアレルゲンに反応して免疫担当細胞からタンパク分解酵素が分泌されるようになり、肌のバリア機能の破壊が促進されます。
フィラグリンには肌の酸性度を弱酸性に保つ働きもあるため、角化細胞の減少によるバリア機能の破壊は、肌の酸性度をアルカリ性に進ませることにつながります。黄色ブドウ球菌は弱酸性よりもアルカリ性の環境下で活発に増殖するため、このこともこの菌を増やす要因になります。

 

Genome Res. 2012 May; 22(5): 850-859. [PubMed]
Allergology International. 2013;62:151-161[PubMed]

 

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